DVシェルター・一時保護の利用方法と申込から入所までの流れ
[更新日]2026/04/27 9 -
「今夜にでも家を出ないと身が危ない」「子どもを連れて、どこに逃げればいいか分からない」——DV被害の渦中にある方にとって、最初に必要なのは安全な避難先の確保です。DVシェルター(一時保護施設)は、配偶者からの暴力被害者を緊急保護してくれる公的・民間の施設で、原則として無料、所在地は秘匿、相手に追跡されにくい仕組みになっています。本記事ではシェルターの種類、申込先と相談ルート、入所までの流れ、持ち物と禁止事項、入所中の生活、退所後の住まい確保まで、実際に動くために必要な手順をまとめます。
DVシェルターとは何か
DVシェルターは、配偶者・恋人からの暴力により生命や身体に危険が迫っている人を、一時的に保護するための施設です。「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)」を根拠に各都道府県が体制を整えており、相談から入所、退所後の自立支援まで一貫した支援が受けられます。
公的シェルターと民間シェルター
| 区分 | 特徴 |
|---|---|
| 公的シェルター | 婦人相談所など。費用無料、警察連携、医療・行政手続き支援が充実 |
| 民間シェルター | NPO等が運営。少人数で柔軟、子連れや男性被害者にも対応する施設あり |
| 委託保護 | 公的機関がホテルや母子生活支援施設へ委託する一時的措置 |
利用できる人
配偶者・元配偶者・事実婚パートナー・交際相手からの身体的暴力、精神的暴力、性的暴力、経済的暴力を受けている方が対象です。子ども同伴の入所も基本的に可能で、男性被害者や同性パートナーから被害を受けた方を受け入れる施設も増えています。
最初の相談先と連絡方法
シェルターへ直接連絡するのではなく、まずは相談窓口に電話して安全な避難計画を一緒に立ててもらうのが基本ルートです。電話やSNSでの相談から始まり、面談、一時保護判断、入所、という流れで進みます。
主な相談窓口
- 配偶者暴力相談支援センター(全国共通短縮ダイヤル「#8008(はれれば)」)
- DV相談ナビ・DV相談プラス(24時間電話・メール・SNS対応)
- 婦人相談所(各都道府県設置、福祉事務所経由でも可)
- 警察署の生活安全課(緊急時は110番)
- 市区町村の女性相談窓口・福祉課
ポイント: 加害者の前で電話するのは危険です。職場のトイレや実家、図書館など加害者の目が届かない場所からかけましょう。スマホの通話履歴・検索履歴は必ず削除を。
申込から入所までの流れ
緊急度が高い場合は当日入所も可能です。一般的な流れは次の通りです。
ステップ別の進み方
- STEP1:相談窓口に電話 → 状況聞き取りと安全確認
- STEP2:面談(窓口・警察署・自宅以外の場所で)
- STEP3:一時保護の必要性判断 → シェルターへ受け入れ要請
- STEP4:移送(職員同行または公共交通機関で秘匿された施設へ)
- STEP5:入所(持ち物確認、生活ルール説明)
- STEP6:退所後の住まい・生活設計の支援を並行で進める
入所できる期間の目安
公的シェルターでの一時保護は概ね2週間程度が一区切りで、必要に応じて延長されます。延長中に住まい・就労・離婚準備の方針を組み立て、母子生活支援施設や民間アパート、公営住宅などへ移行していくのが一般的な流れです。
入所中の生活と注意点
シェルターは安全確保が最優先のため、外部との接触に厳しいルールが設けられます。窮屈に感じる場面もありますが、あなたと家族の安全を守るための仕組みです。
持って行きたい物
- 本人と子どもの健康保険証、母子手帳、診察券
- 運転免許証・マイナンバーカード等の身分証(コピーでも可)
- 通帳・印鑑・キャッシュカード
- 常用薬・お薬手帳
- 当面の現金、子どものお気に入りの物
- 暴力の証拠(写真、診断書、録音、LINEのスクリーンショット)
入所中の制限
スマホの使用制限、外出制限、SNS・写真投稿の禁止など、所在を特定されないためのルールがあります。子どもの通学も一時停止になるケースが多く、必要があれば学校への秘匿配慮や転校支援も並行して進められます。
退所後の住まいと生活再建
シェルターはゴールではなく、自立への中継地点です。退所までに次の支援制度を確認しておきましょう。
- 母子生活支援施設(中長期で母子が暮らせる施設)
- 公営住宅のDV被害者優先枠
- 住民票閲覧制限(支援措置)で住所秘匿
- 児童扶養手当・住居確保給付金などの公的給付
- 法テラスによる弁護士費用立替
- 就労支援センター・ハローワークマザーズコーナー
入る前に知っておきたい「シェルター後」の選択肢
シェルター入所中は猶予期間でもあります。退所までの数週間に、自立後の生活設計と離婚手続きの方針を支援員と一緒に組み立てます。
住まいの選択肢を比較する
退所後の住まいは大きく分けて、母子生活支援施設、公営住宅のDV被害者優先枠、民間賃貸、親族宅の四択です。母子生活支援施設は中長期で母子が暮らせる入所施設で、生活相談員のサポートが受けられます。公営住宅は家賃が抑えられる反面、空き状況に左右されます。民間賃貸は自由度が高いものの初期費用がネックになりやすく、自治体によっては家賃補助・引越し費用助成があります。
並行して進める法的手続き
- 保護命令申立て(接近禁止・退去命令)
- 離婚調停または婚姻費用分担調停の申立て
- 戸籍・住民票の閲覧制限(DV等支援措置)
- 子の監護者指定・面会交流の取り決め
これらは法テラスの民事法律扶助で弁護士費用の立替が受けられます。生活保護世帯や住民税非課税世帯では償還免除になることもあります。シェルター内で弁護士と打ち合わせる場合、施設に出張相談に来てもらえる地域もあります。手続きを進めるうちに「何をしたか覚えていない」状態になりやすいので、支援員と一緒にスケジュール表を作り、書類のコピーをまとめて保管しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. 利用料はかかりますか
A. 公的シェルターでの一時保護は原則無料です。食事・寝具も提供されます。民間シェルターは運営方針により一部負担を求められる場合がありますが、生活困窮者には無料・減免対応があるのが一般的です。費用面は最初の電話相談で必ず確認してもらえます。
Q. 子連れでも入れますか
A. はい、子ども同伴での入所が可能です。乳児・幼児・学齢期どの年齢でも受け入れ実績があります。学齢期の子どもについては学校との連絡や転校手続き、心理ケアも支援員が一緒に考えてくれます。男児の場合は施設のルールにより別施設になる可能性があるため、相談時に確認しましょう。
Q. シェルターの場所を相手に知られませんか
A. 所在地は厳重に秘匿され、職員以外には伝えられません。入所後はSNS投稿、位置情報サービス、写真の背景共有が禁止されます。住民票の閲覧制限手続き(DV等支援措置)を併用することで、加害者が役所経由で住所を辿ることも防げます。
Q. シェルターに入る決断ができません。離婚するかも決めていません
A. 一時保護は「離婚を決めた人」だけが使うものではありません。一度距離を置いて冷静に考える時間を取るための場所でもあります。入所後に関係修復を選ぶ方もいます。まずは安全を確保することが最優先です。迷っている段階でも相談窓口に話を聞いてもらってください。
執筆・監修
離婚ポータル事務局
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