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国際離婚の手続きと準拠法・管轄の考え方

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[更新日]2026/04/27 51 -

外国籍の配偶者との離婚(国際離婚)は、日本人同士の離婚にはない論点が複数あります。「どこの国の法律が適用されるのか」「どこの国の裁判所で手続きすべきか」「相手国でも離婚が認められるのか」——いわゆる準拠法と国際裁判管轄の問題です。本記事では、国際離婚で押さえておくべき準拠法・管轄の基本的な考え方、日本での協議離婚が相手国で有効になるかの判断軸、子の親権・養育費・財産分与で気をつける点までを実務目線で解説します。手続きの順番を間違えると二重に手間がかかるので、最初に全体像をつかんでおきましょう。

準拠法の決まり方

準拠法とは「その案件にどの国の法律を適用するか」のルールです。日本では「法の適用に関する通則法(通則法)」が国際的な家族関係について基本ルールを定めており、離婚については原則として段階的な接続点で決まります。

夫婦の本国法・常居所地法の順で判断

通則法では、離婚の準拠法は原則として、(1)夫婦の共通本国法、(2)それがない場合は共通常居所地法、(3)それもない場合は夫婦に最も密接に関連する地の法、という順で決まります。さらに夫婦の一方が日本に常居所を持つ日本人である場合は、日本法が適用される特則があります。多くの在日国際結婚カップルでは、結果的に日本法が適用されるケースが多くなります。

親権・養育費・財産分与は別ルールになることも

「離婚そのものの可否」と「離婚に伴う付随的な問題」は、通則法上、別の連結ルールで準拠法が決まる場合があります。たとえば親権者の指定や監護は子の本国法、扶養(養育費)は扶養義務の準拠法に関する法律で個別に判断されます。離婚自体は日本法でも、子の親権論点だけ別の国の法律が関わる、というケースも実務上あります。

国際裁判管轄の考え方

国際裁判管轄とは「どこの国の裁判所が審理できるか」の問題です。準拠法の話とは別レイヤーなので、混同しないように整理しましょう。

人事訴訟法による日本の管轄

日本では2019年施行の改正人事訴訟法・家事事件手続法により、国際裁判管轄のルールが明文化されました。基本的には、被告(相手方)の住所が日本にある場合、夫婦双方が日本国籍を有する場合、夫婦の最後の共通住所が日本にあり原告の住所も日本にある場合などに、日本の裁判所が管轄を持つとされています。

状況 日本での管轄の目安
相手方が日本在住 原則として認められる
相手方が海外、自分が日本在住 条件次第(最後の共通住所等)
双方が日本国籍 原則として認められる
双方海外在住・外国籍 日本での提訴は困難

相手国での承認が必要な場合がある

日本の裁判所で離婚判決を取得しても、相手の本国でその効力が自動的に認められるとは限りません。国によっては「外国判決の承認手続き」が必要で、要件を満たさないと現地の戸籍上は離婚扱いにならないケースがあります。相手国で再婚や相続などの法的効果を発生させたい場合は、現地での承認手続きが追加で必要かどうかを必ず確認しましょう。

ポイント: 国際離婚は「日本での離婚成立」と「相手国での離婚成立」が一致しないことがあります。両国で確実に独身に戻るには、それぞれの国の手続きを並行して進める必要があるケースが少なくありません。

手続きの流れと注意点

国際離婚の進め方は、当事者の国籍・居住地の組み合わせによって大きく変わります。ここでは代表的なパターンに基づいて、実務上の注意点を整理します。

協議離婚は使える国・使えない国がある

日本では離婚届の提出による協議離婚が広く利用されていますが、世界的には裁判所を経ない離婚を認めない国も多くあります。配偶者の本国法が協議離婚を認めない場合、日本で離婚届が受理されても本国では未離婚扱いになる可能性があります。市区町村窓口で受理可能な書類が揃うかという形式面と、本国での効力という実質面を分けて確認することが重要です。

在留資格・ビザへの影響

外国人配偶者が「日本人の配偶者等」のビザで在留している場合、離婚すると在留資格の根拠が失われます。離婚から6か月以上、配偶者としての活動を継続せずに在留している場合は在留資格取消しの対象となり得るため、定住者ビザへの変更や帰国の準備など、相手側にも対応が必要になります。子の親権を取る場合は「定住者」への変更が認められやすくなる傾向があります。

子の連れ去り・ハーグ条約への配慮

日本もハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)の締約国です。一方の親が、もう一方の親の同意なく子を国境を越えて連れ出した場合、原則として元の居住国に返還されることになります。トラブル予防のため、別居・帰国に当たっては、双方の合意書面または家庭裁判所の手続きを経るのが安全です。

  • 戸籍謄本・婚姻証明書・パスポートなど書類を早めに揃える
  • 翻訳が必要な書類(公的な翻訳が要求される国もある)を確認
  • 双方の本国法に詳しい弁護士・相手国の現地弁護士の連携を検討
  • 子の連れ去り防止のための合意・書面化を優先する

よくある質問(FAQ)

Q. 配偶者が海外在住で連絡が取れません。日本で離婚できますか?

A. 相手と連絡が取れない場合、協議離婚は事実上難しく、家庭裁判所での調停・訴訟が選択肢になります。所在不明の相手に対しては公示送達という手続きで訴訟を進められる場合があります。ただし日本に管轄が認められるかが前提となるため、まずは弁護士に相談して全体構造を整理しましょう。

Q. 日本で離婚届を出しても、相手の本国で離婚と認められないことがありますか?

A. はい、あり得ます。協議離婚を認めない国や、外国判決の承認に追加手続きを求める国があります。ヨーロッパ・南米など多くの国で、現地の裁判所や登録機関での手続きが別途必要となるケースがあります。再婚・相続・在留資格に影響するため、必ず相手国の制度を確認してください。

Q. 国際離婚で親権はどう決まりますか?

A. 子の親権・監護に関する事項は子の本国法によるとするのが通則法の基本ですが、子の常居所地法の関与も考慮されます。実務では、子が日本で生活している場合は日本の家庭裁判所が日本法で判断することが多くなります。子の利益を最優先に判断される点は国内事案と同様です。

Q. 国際離婚の弁護士費用は通常より高くなりますか?

A. 一般的に高くなる傾向があります。準拠法・管轄の検討、外国語書類の対応、海外送達、現地弁護士との連携などが必要になるためです。事務所によって料金体系が異なるので、想定される総額を必ず書面見積りで確認しましょう。法テラスも一定条件で利用できる場合があります。

Q. 国際離婚にかかる期間はどのくらいですか?

A. 当事者双方が日本に住み協議離婚で合意できれば数週間で完結することもありますが、海外送達や現地での承認手続きが必要になると、半年から1年以上かかるケースも珍しくありません。相手国の制度や、双方の協力姿勢で大きく変わるため、初動段階で全体スケジュールを弁護士と確認しておくと安心です。

Q. 外国で離婚した後、日本で何か届け出が必要ですか?

A. 日本人が海外で離婚した場合、3か月以内に本籍地または所在地の市区町村役場に「離婚届(報告的届出)」を提出する必要があります。外国の判決書や離婚証明書と日本語訳を添付します。これを怠ると日本の戸籍に反映されず、再婚等の手続きに支障が出るため、早めに行いましょう。

執筆

離婚ポータル事務局

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