夫婦の財産はどこまで対象?離婚時の財産分与まとめ
[掲載日]2019/05/08 766 -

離婚は、3分に1組といわれています。「離婚」にもさまざまな理由がありますよね。
最近では、熟年離婚というのが増加傾向にありますが、離婚時の財産分与について正しい知識を持たれていますか。意外と知っているようで知らないこともあるはず。
いざ、「離婚」を考えていても何を準備したらいいのか分からないという人も多いです。
現在所有している車は?退職金って財産分与できるの?また、負債がある場合はどうなるの?などさまざまな疑問があると思います。一般的に財産分与の対象となるものについて、ここでは触れています。
婚姻中に築き上げた財産は、財産分与の対象となりますが、離婚後に退職金が支給された場合も財産分与の対象となります。但し、一部例外もあります。どんなものが対象で、どんなものが対象にならないのかについて詳しくお伝えしています。
これから、離婚を考えてる方や離婚調停中の方、これから離婚に向けて準備を進めている方などのために、損をしないためにどうしたらいいのかという基礎知識について伝授します!これを知ってるだけで「損」をすることがなくなります。
財産分与に関する種類と基礎知識
離婚時に発生する財産分与には、大きく分けて、3つに分けれます。
清算的財産分与
こちらは、結婚している間に夫婦で形成した財産のことで、共有財産になります。
それぞれの貢献度などを考慮して、公平に分配される財産になります。離婚原因の度合いに左右されることなく平等に分配されるため、離婚の原因となった側からの請求でも認められてしまいます。
扶養的財産分与
こちらは、離婚をした場合にどちらかの配偶者が今後の生活に困窮する可能性がある場合、生活の補助をする扶養目的で財産分与されるものです。
片方が病気や専業主婦または専業主夫や高齢者などの場合に認められ、立場の弱い配偶者に対して、離婚後も生活費を一定金額を定期的に支払うというものです。
慰謝料的財産分与
本来は、慰謝料は財産分与と別に個別に請求するものですが、慰謝料の請求が問題となることが多い為、慰謝料と財産分与を区別せず、まとめて「財産分与」として支払いや請求をすることがあります。
その為、慰謝料の意味合いも含まれているので、「慰謝料的財産分与」といわれています。
ここまで、ご理解いただけたでしょうか。では、多くの方が悩まれている財産分与に多い項目について、詳細に見ていきましょう。
離婚する時の財産分与する場合に車はどうなる?
車を財産分与の対象とする場合は、まず車の現在の価値を確認する必要があります。
離婚後にどちらが車を所有するかを明確にする必要があります。
そして、その車を現金化するのか、ローンの残債はどうなるのかということですが、まずは価値を知らなければ次のステップに進むことができません。
車の名義が相手名義であっても婚姻中に購入している場合は、共有財産として財産分与と対象となります。
時価総額の半分を現金で受け取ることが可能です。
但し、別居中に車を購入した場合は、例外となります。別居後に車を購入した場合は、財産分与と対象とならないので注意が必要ですが、購入資金を共有財産で購入している場合は、財産分与と対象となってしまいます。
ローンの残債がある場合は、時価総額からローン財産を差し引いた残りの半分を現金で渡すようになります。相手が車を所有し、ローンも払う場合は時価の半額を現金で受け取ることができます。
時価金額よりもローン残債が多い場合は、価値がないとみなされるので財産分与対象から外されます。このような場合は、ローンの支払いは車を所有する側が支払いをするようになります。
離婚する時の財産分与する場合に退職金はどうなる?
退職金については、財産分与と対象となります。ただし、会社の経営状態や退職理由などにより支払われない場合もあります。その為、必ず支払われる保証があるわけではないということも理解しておきましょう。
退職金も財産分与の対象となりますが、実は全額が対象となるわけではありません。以下で詳しく説明しますね。
退職金がすでに支払われている場合は、婚姻期間(同居期間)がどれくらいあったか。勤続年数がどれくらいあったのかによって、金額が計算されます。
ここで注意しなければいけないのが、退職金をすでに使い果たしており残ってない場合は、財産分与の対象にならない可能性があるので、この点は注意が必要です。
退職金がまだ支払われてない場合は、退職金の支給が見込まれる場合でも婚姻期間がどれだけあるかによって金額は変わってきます。婚姻期間(どれだけ貢献しているか)に応じて財産分与の金額が決まります。
但し、若い人が離婚をする場合には将来退職金が払われるかどうか不透明なことがあります。その場合は、退職金の分割が認められない可能性もありますが、すでに退職が決まっている場合は財産分与の対象となる可能性もあります。
離婚する時の財産分与する場合に年金はどうなる?
年金も財産分与対象となりますが、「厚生年金と共済年金」のみ対象となります。
婚姻期間中の納付実績により金額が変わってきます。国民年金や厚生年金基金・国民年金基金に関しては財産分与の対象から外れます。また、年金は婚姻期間のみが対象となるので、婚姻前の期間は認められません。
年金分割支払い制度を利用する場合には、1つ注意点があります。
婚姻期間中にご自身より厚生年金や共済年金を多く払っている場合にしかメリットがないという事です。
相手が国民年金で請求者が厚生年金の場合は、逆に年金分割を請求されてしまうことになりますので、このことは覚えておきましょう。
離婚時の財産分与をする場合に負債がある場合はどうなる?
離婚時の財産分与する場合、負債があるときにはそれも対象となるのでしょうか。負債がある場合には不安になりますよね。
負債がある場合ですが、まず婚姻前に負債があった場合は対象から外れることがあります。あくまでも婚姻期間中の共有財産部分に関して対象となります。共有財産として、夫婦間で作られた借金は対象となります。
では、どんなものが対象となるのでしょうか。
- 生活費の補填に充てられた借金
- 家族で使用するための車のローン
- 家族で居住するための住宅ローン
逆に財産分与と対象とならないものはどんなものがあるでしょうか。
- ギャンブルなどで作った借金
- 収入以上の個人的な浪費や買い物などによる借金
負債がある場合は、基本的に借金を行った配偶者が支払うようになり、負債部分に関しては分与財産がないと認定されることが多いです。
離婚後に財産分与しない方法はあるの?
離婚後に財産分与しない方法もあります。これは、双方の話し合いにもよりますが、文章に残しておくことが大切です。
「お互いの財産に関して、名目に関係なく何らの財産上の請求をしないことを約束する」と文言を残されることが多いです。この行為を「清算条項」といい、財産分与の権利や義務などを含めて放棄したということになります。
離婚時の財産分与で税金の支払いはあるのか?
離婚時の財産分与で税金の支払いは、全てにあるわけではありません。ここでは、どの財産分与が対象となるのかについてお伝えします。
まず、次にあげるモノに税金対象となります。
- 不動産などの土地
- 高額な美術品
- 会員権
- 有価証券や株式
現金で支払う場合には、基本的に税金の対象とはなりませんが、現金以外での支払いの場合は「贈与所得税」の対象となり、税金がかかります。
住宅などの不動産には、譲渡所得税・不動産所得税・登録免許税・固定資産税などがかかるということを覚えておきましょう。
購入時よりも財産分与時に高額となる場合には税金がかかってきます。また、所有期間が5年未満または5年超かによっても変わってきます。
不動産に関しての税金には3種類あります。
- 所得税
- 復興特別所得税
- 住民税
があり、3000万円以下の場合は「譲渡所得税」が掛からないこともあります。自宅として居住が条件となりますが、居住が認められれば3000万円の特別控除の特例を受けることができるからです。
また、財産を受け取る側は基本的に税金がかかりませんが、例外もあります。
財産分与の金額が多いとみなされた場合や不正離婚だとみなされた場合には税金の対象となることがあります。
財産分与時の税金を減額する方法は?
実は、財産分与時の税金を減額する方法もあります。では、詳しくお伝えしますね。
特別控除を受ける
居住用の財産売買を行った場合、3000万円を上限として税金控除を受けることができます。
離婚後に譲渡する
夫婦間や親子間での譲渡に関しては、特別控除が受けられないので離婚後に財産分与を行うことで、3000万円をじょうげんとして譲渡所得税の対象外となります。
配偶者控除(贈与税の特例)を受ける
婚姻期間が20年以上の場合、居住用不動産として2110万円を上限として節税の対象となります。
離婚時の財産分与は離婚の原因によっても金額は変わる
ここまで詳しくお伝えしましたが、理解頂けたでしょうか。
知らなかったこともあったのではないでしょうか。財産分与をしたのはいいが税金が発生したり、貰えないこともあるというのを理解しておきましょう。
財産分与は必ずしもしなければいけないという事ではありませんが、離婚の原因によっても金額は変わります。ここでお伝えしたことが参考になればと思います。