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海外不動産・海外口座の財産分与と国際離婚の税務

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[掲載日]2026/05/07 3 -

国際結婚や海外駐在、海外投資が珍しくなくなった今、離婚の財産分与で海外不動産や海外口座が問題になるケースが増えています。日本の家庭裁判所で審理される場合の準拠法、海外資産の開示義務、国外財産調書制度、CRSによる自動情報交換、送金時のみなし贈与課税まで、見落としがちな論点を体系的に整理します。

国際離婚における準拠法と管轄

日本人同士が海外で結婚生活を送った後に離婚する場合や、日本人と外国人が離婚する場合、まず問題となるのがどの国の法律が適用されるか(準拠法)と、どの国の裁判所で審理できるか(国際裁判管轄)です。日本では「法の適用に関する通則法」により、離婚の準拠法は原則として夫婦の本国法が同一ならそれを適用し、そうでない場合は常居所地法、さらにそれもなければ夫婦に最も密接な関係がある地の法と定められています。

財産分与については、離婚の効果として同じく通則法の枠組みで判断されるのが一般的です。夫婦双方が日本国籍で、日本に居住していれば日本法が適用される可能性が高くなります。一方、配偶者が外国籍で、海外に生活の本拠がある場合は外国法が適用される可能性があり、夫婦財産制(Community Property制など)の違いが分与割合に大きく影響します。

国際裁判管轄については、平成30年(2018年)改正により人事訴訟法に明文規定が置かれ、被告の住所が日本にある、夫婦の最後の共通住所が日本にあったなど一定の要件で日本の裁判所が管轄を持つ場合があります。管轄と準拠法は別概念であり、日本で審理できるとしても適用される法が外国法という事態も起こり得ます。

海外不動産・海外口座の開示義務

財産分与の協議や調停・審判では、夫婦双方の財産を開示することが基本となります。日本の民事訴訟法上は当事者に一般的な財産開示義務が明文で定められているわけではありませんが、調停・審判の運用上、裁判所は当事者に財産目録の提出を促し、虚偽申告があれば信用性を厳しく評価します。

海外資産は国内資産に比べて存在の把握が困難で、隠匿されやすい性質があります。そのため、海外不動産の登記簿(日本と制度が異なる国が多く、日本からの取得には現地代理人が必要)、海外口座の取引明細、外国証券会社のアカウント履歴などをどう立証するかが実務上の焦点になります。配偶者の海外送金履歴、税務申告書、クレジットカード明細などから間接的に海外資産の存在をあぶり出すアプローチも用いられます。

調停段階で開示が得られない場合、訴訟移行後に調査嘱託(裁判所を通じて金融機関等に情報照会)や文書提出命令を活用することが考えられますが、海外の金融機関に対する強制力は限定的です。現実には、後述するCRSや国外財産調書の情報を糸口に交渉することが多くなります。

国外財産調書制度(5000万円超の保有者)

日本の居住者で、その年の12月31日時点で5000万円を超える国外財産を有する人は、翌年6月30日までに「国外財産調書」を所轄税務署に提出しなければなりません(国外送金等調書法)。対象となるのは海外不動産、海外預金、外国株式、外国投資信託、海外の保険契約など多岐にわたり、保有者ごとに合算で判定されます。

離婚の財産分与で配偶者の海外資産を把握したい場合、相手方がこの国外財産調書を提出していれば、その内容が重要な手がかりになります。もっとも、本人以外が税務署から調書を直接取得することはできないため、実務上は弁護士を通じた開示要求や、訴訟手続内での文書提出命令を検討することになります。

制度 閾値 提出先・期限
国外財産調書 12/31時点で5000万円超 翌年6/30 税務署
財産債務調書 所得2000万円超かつ財産3億円超等 翌年6/30 税務署
国外送金等調書 100万円超の国外送受金 金融機関が税務署へ

不提出や虚偽記載には加算税の加重や罰則が規定されており、相手方が適切に提出していない場合、その事実自体が交渉材料になる可能性もあります。

CRS(共通報告基準)による自動情報交換

CRS(Common Reporting Standard)は、OECDが策定した非居住者の金融口座情報を各国税務当局間で自動的に交換する仕組みで、日本も参加しています。日本の居住者が海外の金融機関に保有する口座情報は、現地金融機関から各国税務当局を経由して日本の国税庁に提供されます。つまり、日本在住の配偶者が海外に隠し口座を持っていても、CRS対象国である限りは日本の税務当局がその存在を把握している可能性が高いということです。

離婚協議で相手方が海外資産の存在を否認する場合でも、CRS情報を国税当局が保有している以上、後日税務調査で発覚し、申告漏れとして追徴課税・加算税を受けるリスクが相手方にあります。この点を踏まえ、弁護士は相手方に対して「いま開示せず後で税務調査で判明すれば二重に不利益を被る」と説得することで、自主的な開示を促す戦略を取ることがあります。

ただし当事者がCRS情報を直接取得することはできません。入手は税務当局に限られるため、離婚協議の場で直接証拠として使うには限界があります。間接的に資産の存在を示唆し、相手方の開示を引き出すための交渉材料と位置づけるのが現実的です。

租税条約と二重課税の調整

海外不動産の譲渡や海外口座からの送金には、現地国の課税と日本の課税が二重にかかる可能性があります。日本は多くの国と租税条約を締結しており、居住地国課税を原則として、源泉地国課税に一定の制限をかけるルールが定められています。財産分与により海外不動産を現物で分与する場合、受け渡す側(譲渡側)で現地のキャピタルゲイン課税が発生することがあり、日本側でも譲渡所得課税が生じる可能性があります。

この二重課税は、日本で申告する際に外国税額控除を適用することで一定範囲で調整できます。ただし控除限度額の計算は複雑で、現地申告書・納税証明書を取得する必要があるため、国際税務に強い税理士の関与が不可欠です。離婚協議の段階で「どの時点で、どの通貨で、誰が税負担するか」を明確に合意しておかないと、後日予想外の税負担で紛争が蒸し返されることもあります。

送金時のみなし贈与リスク

財産分与として金銭を送金する場合、原則として贈与税はかからないとされていますが、分与額が婚姻中の財産や一切の事情を考慮しても過大であると認められる部分については贈与とみなされ、贈与税が課税される扱いとなっています(相続税法基本通達9-8)。海外送金で多額の金銭を動かす場合、この「過大性」の判断が厳しく見られる可能性があります。

また、海外居住の配偶者に国外送金する場合、100万円超の送金は金融機関から税務署に国外送金等調書が提出されます。財産分与である旨を送金目的に明記していても、税務当局が独自に贈与性を判断する可能性があり、合意書・公正証書の原本やその英訳を保管しておくことが重要です。

  • 合意内容を公正証書化し、財産分与の根拠を明確化
  • 送金目的欄に「Property Division on Divorce」等を記載
  • 送金前に国際税務に強い税理士へ申告方針を相談
  • 国外財産調書・財産債務調書の提出義務を確認
  • 現地(送金先国)の受取時課税の有無も調査

国際離婚の財産分与は、法律・税務・為替・現地制度が複雑に絡み合うため、弁護士単独ではなく国際税理士・現地法律家とのチーム対応が必要です。早期に専門家を巻き込み、資産の洗い出しから税務申告までの全体設計を立てることが、将来の紛争と課税リスクを最小化する鍵になります。

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執筆・監修

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