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別居中の生活費(婚姻費用)の相場と請求方法|もらい忘れる前に確認を

この記事は約 7 分で読めます
[更新日]2026/04/18 48 -

婚姻費用とは?民法で定められた配偶者の義務

婚姻費用とは、夫婦が別居している間に支払われる生活費のことです。民法760条では「夫婦はその資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定められており、別居中であっても婚姻関係が続く限り、収入の多い側が少ない側に生活費を支払う義務があります

婚姻費用には、食費・光熱費・家賃・医療費・子どもの教育費など、生活全般にかかる費用が含まれます。離婚が成立するまでの間、この婚姻費用の支払い義務は続きます。

婚姻費用の相場はいくら?年収別早見表

婚姻費用の金額は、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」をもとに決定されます。請求する側(権利者)と支払う側(義務者)の年収によって金額が変わります。

子どもなし・権利者の年収が0〜200万円の場合(義務者年収別)

義務者の年収 婚姻費用の目安(月額)
300万円 2〜4万円
500万円 4〜6万円
700万円 6〜8万円
1,000万円 10〜12万円

子ども1人(0〜14歳)・権利者の年収が0〜200万円の場合

義務者の年収 婚姻費用の目安(月額)
300万円 4〜6万円
500万円 6〜8万円
700万円 8〜10万円
1,000万円 12〜14万円

上記はあくまで目安です。実際の金額は裁判所の算定表や当事者間の合意によって決まります。

婚姻費用の計算シミュレーション(具体例)

婚姻費用の計算には「養育費・婚姻費用算定表」が用いられますが、計算方法の概要は以下の通りです。

【計算例】
夫(義務者)年収600万円、妻(権利者)年収100万円、子ども1人(8歳)の場合
→ 算定表の目安:月額8〜10万円程度

義務者(支払う側)の収入から基礎収入を算出し、子どもの生活費指数に基づいて計算します。給与収入と自営業収入では計算方法が異なります(自営業の場合は経費控除後の金額を使用)。

婚姻費用と養育費の違い

混同されやすい「婚姻費用」と「養育費」ですが、支払い期間と対象が異なります。

項目 婚姻費用 養育費
支払い期間 別居中〜離婚成立まで 離婚成立後〜子どもが自立するまで
対象 配偶者+子ども 子どものみ
金額の目安 養育費より高め 婚姻費用より低め

婚姻費用には配偶者自身の生活費も含まれるため、養育費より高額になるのが一般的です。

住宅ローンがある場合の婚姻費用の調整

義務者(夫など)が婚姻費用を支払いながら、権利者(妻など)が住む自宅の住宅ローンも負担している場合、婚姻費用から住居費相当額を控除することができます。

  • 義務者が住宅ローンを払い続けている場合:婚姻費用から住居費用相当分を差し引ける
  • 権利者が住宅ローンを払っている場合:婚姻費用の増額が認められる場合もある

住宅ローンの調整方法は複雑なため、弁護士や調停委員に相談することをおすすめします。

婚姻費用の請求方法・ステップ

ステップ1:まず話し合いで合意を目指す

配偶者に婚姻費用の支払いを求める話し合いを行います。金額・支払日・振込先などを書面(合意書)に残しましょう。

ステップ2:婚姻費用分担請求調停の申立て

話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申立てます。申立て費用は1,200円程度と低コストです。

🔑 重要:調停を申立てた月から支払い義務が発生することが多いです。別居を開始したら、できるだけ早く申立てることをおすすめします。

ステップ3:審判

調停で合意できない場合、自動的に審判に移行します。裁判官が算定表をもとに金額を決定します。

婚姻費用を払わない場合のペナルティ

審判または調停で決定した婚姻費用を相手が支払わない場合、以下の法的措置を取ることができます。

  • 履行勧告:家庭裁判所から支払いの勧告をしてもらう(強制力はない)
  • 履行命令:家庭裁判所が支払いを命令。違反した場合は10万円以下の過料
  • 強制執行(給与差押え):相手の給与・預金を差し押さえる。婚姻費用は給与の最大2分の1まで差押えが可能(通常の債権は4分の1まで)

さかのぼって請求できる?

婚姻費用は原則として請求した時点(調停申立て月)からしか認められません。別居が長くても、請求前の期間にさかのぼって請求することは難しいとされています。

このため、別居を開始したらできるだけ早く、少なくとも調停の申立てを行うことが重要です。

婚姻費用を離婚交渉で戦略的に活用する

婚姻費用は、離婚交渉を有利に進めるための重要なレバーになります。

  • 婚姻費用の支払い負担が大きいと、義務者側が早期離婚に同意するケースがある
  • 権利者側は「離婚に同意しなければ婚姻費用を受け続けられる」という交渉力を持てる
  • ただし、不倫など有責行為がある側が婚姻費用を請求すると、減額される場合もある

別居前に確認すること

別居を始める前に確認・準備しておきたい事項をまとめました。

  • 相手の年収・収入証明書類のコピーを入手しておく
  • 子どもがいる場合は子の戸籍謄本・住民票を用意する
  • 家計の通帳・クレジットカード明細など家計状況の証拠を保全する
  • 生活費の振込先となる自分名義の銀行口座を確保する

よくある質問(FAQ)

Q. 専業主婦でも婚姻費用を請求できますか?

A. はい、できます。専業主婦(収入ゼロ)でも、収入の多い配偶者に対して婚姻費用を請求する権利があります。算定表上も収入ゼロとして計算されます。

Q. 別居中に相手が転職・失業した場合は?

A. 収入が大幅に変わった場合は、調停・審判で婚姻費用の見直しを求めることができます。ただし自発的な収入減少(転職で年収を下げるなど)は考慮されない場合もあります。

Q. 婚姻費用の申立てに弁護士は必要ですか?

A. 弁護士なしで申立て・調停参加は可能です。ただし、相手が弁護士を付けている場合や住宅ローンの調整が必要な複雑なケースでは、弁護士に依頼する方が有利です。

Q. 婚姻費用はいつまで払ってもらえますか?

A. 離婚が成立するまでです。離婚成立後は婚姻費用ではなく養育費の問題になります。婚姻関係が継続している限り請求権は存在します。

自営業・フリーランスの場合の婚姻費用計算

自営業やフリーランスの場合、算定表で使う「収入」は確定申告書の「課税される所得金額」をベースにします。ただし、実態に合わせた調整が行われることもあります。

  • 経費の実質性:事業と個人の支出が混在している場合、実態に応じた収入が認定されることがある
  • 減価償却費:実際の支出を伴わない経費(減価償却等)は収入に加算される
  • 役員報酬:法人経営の場合は役員報酬が収入の基準となる

相手が自営業で収入の把握が難しい場合、確定申告書の開示を求めることができます。開示を拒否する場合は調停で財産開示を求める方法もあります。

婚姻費用の審判・強制執行までの流れ

婚姻費用の支払いを法的に確保するための流れを整理しました。

段階 内容・期間の目安
①協議 当事者間で金額・支払い方法を話し合い(期間:任意)
②調停申立て 家庭裁判所へ申立て。1〜3回の調停期日(2〜4ヶ月)
③審判 調停不成立の場合、裁判官が金額を決定(1〜2ヶ月)
④強制執行 不払いの場合、給与・預金を差押え(申立てから1〜2ヶ月)

調停を申立てた月から支払い義務が発生する(認められることが多い)ため、できるだけ早く行動することが重要です。

💬 婚姻費用の請求は早めに専門家へ

請求のタイミングや金額交渉は、弁護士に相談することでスムーズに進みます

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執筆・監修

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