精神的DV・経済的DVを理由とした離婚|2024年法改正対応・保護命令申請まで解説
[更新日]2026/04/18 47 -
この記事では、DV(ドメスティックバイオレンス)を理由とした離婚の方法・保護命令の申請・証拠収集を解説します。2024年4月施行のDV防止法改正で、精神的DV・性的DV・経済的DVも保護命令の対象となりました。
DVの種類|身体的暴力だけではない
DV(ドメスティックバイオレンス)とは、配偶者やパートナーからの暴力・ハラスメント全般を指します。「殴る・蹴る」などの身体的暴力だけでなく、2024年の法改正でより広い行為が法律で明確に保護対象となりました。
📋 DVの4つの種類
- 身体的DV:殴る・蹴る・物を投げる・髪を引っ張るなど直接的な暴力
- 精神的DV:暴言・脅迫・無視・監視・行動の制限・ガスライティング
- 性的DV:同意のない性行為の強要・避妊の拒否・性的侮辱
- 経済的DV:生活費を渡さない・働くことを禁じる・お金の使い道を細かく管理する
2024年DV防止法改正のポイント
2024年4月1日に施行された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」の改正により、DV保護の範囲が大幅に拡大されました。
✅ 2024年改正の主な変更点
- 精神的暴力・性的暴力・経済的暴力が保護命令の対象に明確化
- 自由・名誉・財産への侵害を伴う言動も対象に
- 生活の本拠を共にする交際相手(婚姻外)も保護対象に追加
- 保護命令の期間が1年間に延長(以前は6か月)
- 接近禁止命令違反への罰則強化(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)
この改正により、「殴られていないからDVじゃない」という思い込みは過去のものとなりました。精神的・経済的な支配を受けている場合も法的に保護を求められます。
DV被害者が取れる法的手段
① 保護命令(接近禁止命令)の申請
- 裁判所に申立てることで、相手が自宅・職場・学校に近づくことを禁じる命令を出してもらえる
- 2024年改正により期間が最長1年に延長された
- 子どもへの接近禁止・電話・SNS禁止も同時に申請可能
- 申立ては地方裁判所で行う(弁護士なしでも可能だが、弁護士同行を推奨)
② 配偶者暴力相談支援センター・シェルターへの相談
- 各都道府県の配偶者暴力相談支援センターで無料相談・一時保護が可能
- DV相談ナビ(#8008):最寄りの相談窓口に繋いでくれる全国共通番号
- DVホットライン(0120-279-889):24時間対応の無料相談窓口
- シェルター(一時避難場所)への入所で身の安全を確保できる
③ 警察への相談・被害届
- 身体的DVは傷害罪・暴行罪として警察への被害届が可能
- 警察の「生活安全課」にDV相談をすると、一時的な待避支援も受けられる
- 告訴状・被害届の写しは離婚手続きでも証拠になる
DV離婚の証拠の集め方
DVを証明するためには、客観的な証拠が不可欠です。身体的DVと精神的・経済的DVでは収集すべき証拠が異なります。
| DVの種類 | 有効な証拠 |
|---|---|
| 身体的DV | 傷の写真(日付入り)・医師の診断書・警察への相談記録 |
| 精神的DV | 暴言の録音・LINEスクリーンショット・日記・心療内科の診断書 |
| 性的DV | 性暴力被害に関する診断書・カウンセリング記録・被害メモ |
| 経済的DV | 通帳記録・生活費の振込記録・生活費の制限を示すLINE等 |
DV離婚での慰謝料・親権
💰 慰謝料について
- DVが原因の離婚では100万〜500万円程度の慰謝料が認められるケースがある
- 暴力の程度・期間・後遺症の有無によって金額が大きく変わる
- 医師の診断書・警察への被害届が高額認定につながりやすい
👶 子どもの親権について
- DV加害者は親権者として不適格と判断されやすい
- 子どもへの暴力・目の前でのDVは特に不利に働く
- 2026年4月施行の共同親権制度でも、DVケースでは単独親権が原則適用される
よくある質問(Q&A)
Q. 精神的DVでも離婚できますか?証明が難しくて…
A. できます。2024年の法改正で精神的DVも保護命令の対象になりました。録音・LINEの保存・日記・診断書を組み合わせることで証明力が上がります。早めに弁護士に相談して証拠収集の方針を立てることをお勧めします。
Q. 生活費を一切渡してもらえません。経済的DVになりますか?
A. 配偶者に生活費を渡さない・極端に少ない額しか渡さない行為は経済的DVに該当し、離婚事由になりえます。通帳記録などで実態を証明しましょう。別居後は婚姻費用の請求も忘れずに。
Q. 相手に住所を知られたくない。秘密で手続きできますか?
A. DV・ストーカー被害者は、住民票の閲覧制限(DV等支援措置)を申請することで新住所を相手に知らせないようにできます。市区町村の窓口で申請が可能です。弁護士を通じた手続きも有効です。
経済的DVの具体例と証拠の集め方
経済的DVは外見から判断しにくいため、被害を受けていても気づきにくいことがあります。以下のような行為が継続的に行われている場合、経済的DVに該当します。
経済的DVの代表的な具体例
- 生活費の不渡り・極端な制限:食費・光熱費・子どもの学用品費など最低限の生活費すら渡さない、または毎月一方的に減額する
- 通帳・カードの独占管理:配偶者名義の口座であっても通帳やキャッシュカードを取り上げ、自分の収入や資産にアクセスできない状態にする
- 就労の妨害:「仕事をするな」と命令する、勤務先に嫌がらせをする、子どもの送迎に協力せずパートにも行けない状況を作り出す
- 借金の強制:配偶者名義でクレジットカードを作らせる、消費者金融から借り入れさせるなど、一方的に借金を負わせる
- 財産の隠蔽・使い込み:共有財産を無断で処分する、へそくりを作ることすら禁止する
証拠の集め方
- 家計のやり取りを記録:毎月渡された生活費の金額と日付をメモに記録する。渡される際にLINEで連絡があればスクリーンショットを保存する
- 通帳のコピーを確保:アクセスできる時期に預金通帳のコピーを取るか、スマホで写真を撮影しておく
- 音声・チャットの記録:「生活費は渡さない」「金の管理はさせない」などの発言を録音またはLINEのトーク履歴として保存する
- 領収書・レシートの保管:生活費が足りず自分の収入から補填した際のレシートを保存しておくと、不足の具体的な証明になる
精神的DVを理由とした保護命令申請の流れ
精神的DVが深刻で身の危険を感じる場合、配偶者暴力防止法(DV防止法)に基づく保護命令を申請することができます。2024年の法改正により、精神的暴力のみの場合でも保護命令の対象に明示されました。
- 配偶者暴力相談支援センターまたは警察に相談する
都道府県の配偶者暴力相談支援センターか、最寄りの警察署に相談します。相談記録は裁判所への申請で証拠として使えます。 - 地方裁判所に保護命令を申立てる
申立書に精神的DVの内容・日時・場所・具体的言動を詳細に記載します。相談機関の証明書や録音データ、診断書(PTSDや適応障害など)を添付すると認められやすくなります。 - 裁判所の審尋・決定(通常2週間以内)
要件を満たすと判断されれば保護命令が発令されます。接近禁止命令(6か月間)や電話等禁止命令が発令されると、違反した相手方には刑事罰が科されます。 - 保護命令を取得後、離婚調停・訴訟へ移行
保護命令が発令されている場合、調停では別室対応や電話会議システムの利用が可能になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 経済的DVを理由に慰謝料を請求することはできますか?
A. はい、請求できます。経済的DVは「婚姻関係を破綻させた不法行為」として認められれば、慰謝料(損害賠償)の対象になります。慰謝料の相場は行為の悪質性や継続期間によって異なりますが、50万〜200万円程度が一般的な範囲です。音声録音・LINEのトーク履歴・通帳記録などを弁護士に持参し、請求できる根拠があるか確認してもらうことをお勧めします。
Q. DVシェルターに入居中でも離婚手続きを進めることはできますか?
A. はい、シェルター入居中でも離婚手続きを進めることは可能です。シェルターの所在地は相手方に知らせる必要はなく、調停の申立て先を「申立人の住所地の家庭裁判所」とすることができます。法テラスを利用すれば収入要件を満たす場合は弁護士費用の立替制度が使えます。シェルターのスタッフが弁護士・司法書士との連携をサポートしてくれるケースも多いため、まずは担当者に相談してみてください。
📌 まとめ
DVは「殴られていないから」と我慢しなくていい。精神的・経済的DVも立派な被害です。
- 2024年改正で精神的・性的・経済的DVも保護命令の対象に
- まず配偶者暴力相談支援センター(#8008)に相談して身の安全を確保
- 証拠は種類ごとに適切な方法で収集・保存する
- DVケースの離婚では慰謝料が高額になりやすく、親権も有利に働く
- 住所を知られたくない場合はDV等支援措置(住民票閲覧制限)を活用
📚 あわせて読みたい
執筆・監修
離婚ポータル事務局
離婚ポータルは、離婚・男女問題に悩む方が最適な解決策を見つけられるよう、専門家監修のもと正確で信頼性の高い情報を発信しています。

