離婚後の配偶者控除・扶養控除と年末調整の書き方
[掲載日]2026/05/20 1 -
離婚した年の年末調整は、配偶者控除や扶養控除の扱いを間違えると過少申告や過大還付の原因になります。所得税法では毎年12月31日時点の家族構成で判定されるため、年内に離婚が成立したか否かが大きな分かれ目です。本記事では離婚後の年末調整の書き方、ひとり親控除・寡婦控除の適用条件、扶養控除等申告書の書き直し手順を具体的に解説します。
所得税法の判定日は「12月31日時点」の家族構成
所得税法上、配偶者控除・扶養控除・ひとり親控除・寡婦控除などの人的控除は、その年の12月31日(年の中途で死亡した場合はその日)時点の現況で判定されます。したがって、12月30日に離婚届が受理された場合と、1月5日に離婚届が受理された場合では、その年の所得税計算が大きく変わります。
たとえば2026年12月30日に離婚した場合、2026年分の年末調整では配偶者控除は受けられず、要件を満たせばひとり親控除や寡婦控除の対象になります。逆に2027年1月5日に離婚した場合は、2026年分は配偶者控除を従来どおり受けられ、ひとり親・寡婦控除への切り替えは2027年分からです。
離婚届を年末に出すか年明けに出すかで数万円〜十数万円の税額差が生じる可能性があるため、協議で別居生活を続けている夫婦は提出タイミングも含めて検討する価値があります。
扶養控除等申告書の書き直し手順
会社員の場合、年初または入社時に勤務先に提出している「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に配偶者を記載している人が大半です。年の途中で離婚が成立したら、勤務先の給与担当に速やかに申し出て、異動事項として書き直します。
書き直しの主な項目は次のとおりです。第一に「源泉控除対象配偶者」欄の削除。第二に子どもを自分の扶養親族とする場合は「控除対象扶養親族(16歳以上)」欄への追加。第三に16歳未満の子は「住民税に関する事項」欄の「16歳未満の扶養親族」に記入。第四に該当する場合は「ひとり親」または「寡婦」にチェック。
書き直しのタイミングは原則として離婚成立後すみやかにですが、少なくとも12月の年末調整資料提出までには反映されている必要があります。反映が遅れると、毎月の源泉徴収額が実態より少なく(または多く)なり、年末調整や確定申告で精算することになります。
ひとり親控除(35万円)の適用条件
2020年分以降、従来の「寡婦(寡夫)控除」が再編され、「ひとり親控除」が新設されました。ひとり親控除は性別を問わず一律35万円(住民税は30万円)の所得控除です。
適用条件は次の3つをすべて満たすことです。第一に現に婚姻をしていないこと(離婚・死別・未婚を問わない)、または配偶者の生死が明らかでないこと。第二に生計を一にする子(総所得金額等48万円以下、他の者の同一生計配偶者や扶養親族でない者)がいること。第三に合計所得金額が500万円(給与収入のみなら約677万円)以下であること。
さらに、事実婚状態と認められる相手がいないことも要件です。住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されている同居人がいる場合は適用されません。離婚後に実家に戻り、子と同居して養育している母子家庭のケースは典型的にひとり親控除の対象になります。年収が600万円あっても、年末調整で適用すれば所得税が1〜2万円程度軽減される効果があります。
寡婦控除(27万円)の適用条件
ひとり親控除に該当しない女性のうち、所定の要件を満たす場合に適用されるのが「寡婦控除」です。控除額は27万円(住民税は26万円)で、性別は女性に限定されています。
適用条件は、夫と離婚した後婚姻をしていない人で扶養親族(子以外)がいる場合、または夫と死別した後婚姻をしていない人もしくは夫の生死が明らかでない人です。いずれも合計所得金額が500万円以下であることが必要で、事実婚の相手がいる場合は除外されます。
「ひとり親控除」と「寡婦控除」は併用できません。子を扶養しているならひとり親控除(35万円)、子以外の親族(両親や兄弟姉妹)を扶養しているなら寡婦控除(27万円)というイメージで使い分けます。子が就職して扶養から外れた後に、両親を引き取って扶養している離婚女性が寡婦控除を使うようなケースが典型例です。
子を扶養親族にする選択の考え方
離婚後、子を父母のどちらの扶養親族にするかは、税法上は協議で決めることになります。一般的には親権者(監護親)が扶養控除を取る運用が多いですが、元配偶者が養育費を支払っている場合、「生計を一にする」要件を満たせば、非監護親側が扶養控除を取ることも可能です。
ただし、同じ子を父母の双方が重複して扶養控除に入れることはできません。どちらが取るかは夫婦の協議で決め、離婚協議書に明記しておくのが後々のトラブル防止になります。養育費が継続的に支払われており、その金額が子の生活費として実質的に貢献している場合は、非監護親側の扶養控除も税務署に認められる運用です。
所得の高い側が扶養控除を取ったほうが世帯全体の税負担は軽くなるため、監護親の所得が低い場合は、非監護親側で扶養控除を取ってその節税分を養育費に上乗せする合意も有効です。ただし児童手当・児童扶養手当・保育料算定などには扶養人数が影響するため、税金だけでなく手当制度全体で見て判断する必要があります。
会社への届出と住民票・源泉徴収票の確認
離婚に伴って会社へ提出する書類は、扶養控除等(異動)申告書のほかにもあります。社会保険の被扶養者からの削除(健康保険組合の扶養異動届)、家族手当・扶養手当の支給停止または継続の確認、通勤手当の再計算(転居があった場合)など、給与総支給額に影響する項目がいくつかあります。
住民票の世帯分離・転居届の提出も忘れずに行いましょう。会社によっては、住民票記載事項証明書の提出を求めることがあります。また離婚後の年末にもらう源泉徴収票は、翌年の保育料算定・児童扶養手当の申請・住宅ローン審査などで提出を求められる重要書類なので、必ず保管しておきます。
年末調整で正しく処理されていない場合、翌年の確定申告で自分で修正することも可能です。還付申告は5年間さかのぼれるため、過去の離婚年で控除の取り漏れがあった人も、今からでも還付を受けられる可能性があります。
離婚年の控除比較
| 控除名 | 控除額(所得税) | 主な条件 |
|---|---|---|
| 配偶者控除 | 最大38万円 | 12/31時点で配偶者在籍 |
| ひとり親控除 | 35万円 | 子あり・所得500万円以下 |
| 寡婦控除 | 27万円 | 子以外の扶養・女性・所得制限 |
| 扶養控除 | 38万円〜63万円 | 16歳以上の扶養親族 |
これらの控除は併用関係にルールがあり、同じ人について重複適用はできません。毎年の年末調整の際に、前年と家族構成が変わっていないかを確認し、変動があれば申告書の記載を見直すのが基本です。
年末調整で処理しきれない場合の確定申告
12月の離婚で年末調整の書類提出に間に合わなかった場合や、勤務先に離婚の事実を伝えたくない場合は、翌年2月16日から3月15日までの確定申告で自分で修正することになります。確定申告では、源泉徴収票の記載内容を入力したうえで、ひとり親控除や寡婦控除、扶養親族の情報を追加入力することで正しい税額が計算されます。
e-Taxを利用すれば自宅から24時間申告可能で、マイナンバーカードとスマートフォンがあれば申告書の作成・送信・還付金の受取までオンラインで完結します。還付申告は確定申告期間を過ぎても5年間受け付けられるため、過去の申告で控除を取り忘れたことに気づいた場合でも遡って還付を受けることができます。
また、医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税)・住宅ローン控除(初年度)などを併せて申告する人も多いでしょう。特に子の歯列矯正や入院治療、別居中の医療費立替など、10万円超の医療費支出があった年は医療費控除の適用漏れがないかを必ず確認してください。
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執筆
離婚ポータル事務局
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