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セックスレスを理由とした離婚の成立要件と進め方

この記事は約 7 分で読めます
[更新日]2026/04/18 98 -

日本では夫婦の3組に1組がセックスレスという調査結果もあり、性的不一致が原因で離婚を考えるケースは珍しくありません。では、セックスレスを理由に離婚できるのでしょうか?この記事では法的な観点からセックスレスと離婚の関係を解説します。

セックスレスで離婚できるか:法的な判断基準

民法上、性交渉は夫婦の義務(同居・協力・扶助義務の一環)とされており、正当な理由のないセックスレスは「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に当たりうると判例は示しています。

ただし、1〜2年程度のセックスレスで即離婚が認められるわけではなく、総合的な婚姻関係の破綻度が判断されます。長期間(概ね5年以上)の完全なセックスレスで、修復の見込みがない場合に認められやすくなります。

セックスレスによる慰謝料請求の可否

相手の一方的な拒否が長期間続いており、婚姻関係の破綻を招いたと認められる場合は慰謝料請求も可能です。請求額の目安:50〜200万円程度(期間・状況によって異なります)。

証拠として有効なもの:セックスレスの期間を記録した日記・相手に改善を求めた際のLINEやメール・カウンセリング記録など。相手が病気や障害を理由とする場合は慰謝料が認められにくくなります。

セックスレスの証拠を記録する方法

セックスレスは外から見えないだけに証拠収集が難しいです。有効な記録方法:①日記・手帳への記録(「○年○月から性交渉なし」と継続的に記録)②相手とのLINEのやり取り(「そういうことはしたくない」など拒否の言動)③夫婦カウンセリングの記録婦人科・泌尿器科への受診記録(身体的な原因がある場合)。

相手が離婚に同意しない場合の進め方

セックスレスを理由に相手が離婚を拒否した場合:①まず協議で離婚を求める②不調なら調停を申立てる③調停も不成立なら訴訟へ。訴訟では「婚姻を継続し難い重大な事由」として認めてもらうために、長期間・修復の試み・精神的苦痛の証拠が必要です。弁護士のサポートが特に重要なケースです。

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セックスレスは法定離婚事由になるか

日本の民法770条1項は、裁判上の離婚が認められる「法定離婚事由」として5つの事由を定めています。セックスレスはそれ自体として明示的に列挙されていませんが、「婚姻を継続し難い重大な事由」(同項5号)に該当するとして、裁判所に離婚が認められたケースは多数存在します。ただし、認められるためにはいくつかの条件を満たす必要があります。

セックスレスが離婚事由として認められる条件

  • 継続性:一時的なものではなく、相当期間にわたってセクシュアルな関係が欠如していること。裁判例では概ね1〜3年以上の継続が一つの目安とされていますが、年数だけで機械的に判断されるわけではありません。
  • 拒否の一方性:一方が性的関係を望んでいるにもかかわらず、もう一方が正当な理由なく継続的に拒絶していること。
  • 婚姻関係の破綻:セックスレスが原因となって夫婦間の信頼関係や情愛が失われ、婚姻関係が実質的に破綻していると認められること。
  • 医学的・合理的理由の有無:病気・障害・加齢など医学的な事情がある場合は、「婚姻を継続し難い事由」と認定されにくくなることがあります。

判例の傾向

裁判例を見ると、セックスレスの期間が長く(5年以上など)、夫婦間のコミュニケーションも断絶しており、別居状態にある場合には婚姻関係の破綻が認定されやすい傾向があります。一方で、セックスレスのみが原因で他の夫婦の実態(共同生活・家計の共有・育児の協力など)が維持されている場合は、裁判所が離婚を認めないケースもあります。離婚を求める側が「破綻の責任者」(有責配偶者)である場合は、原則として離婚請求が認められないことも重要なポイントです。

証拠の集め方

セックスレスを理由とした離婚交渉・調停・裁判を進めるうえで、その事実を客観的に示す証拠を早い段階から収集・保存しておくことが重要です。

有効な証拠の種類

  • 日記・記録:性的関係の欠如が始まった時期、相手に求めた日時とその反応、断られた状況などを日々記録したノートや手帳。日付・内容が具体的であるほど信用性が高まります。スマートフォンのメモアプリのタイムスタンプも有効です。
  • LINEやメールの断りメッセージ:相手が性的関係を拒否したことが明確に読み取れるメッセージのスクリーンショット。送受信日時が確認できる状態で保存してください。
  • 医師の診断書・カウンセリング記録:セックスレスによる精神的苦痛(抑うつ状態、不眠など)について医師やカウンセラーに相談した記録。第三者による客観的な評価として裁判所でも重視されます。
  • 夫婦カウンセリングや相談機関への相談記録:性の問題について話し合いを試みた記録(カウンセラーへの相談日時・内容のメモ、相談窓口からの返信メールなど)。
  • 別居の事実に関する証拠:別室での就寝が続いている場合は、その状態を示す写真や周囲への説明メッセージなども補足資料となります。

なお、相手のスマートフォンやパソコンを無断で閲覧・複製することは、プライバシーの侵害や不正アクセス禁止法違反となる可能性があります。証拠収集は適法な方法で行ってください。

慰謝料請求の可否と相場

慰謝料が認められる場合・認められない場合

セックスレスを理由とした慰謝料請求は、「相手方に責任がある場合」に限り認められます。責任の所在によって結果が大きく異なるため注意が必要です。

状況 慰謝料請求の可否
相手が正当な理由なく一方的に性的関係を拒絶し続けた 請求可(「同居・協力・扶助義務違反」として)
相手の病気・障害・加齢が原因でセックスレスになった 請求困難(相手に故意・過失が認められにくい)
自分自身も性的関係を望まなかった(相互合意) 請求不可
自分が不倫などをしており有責配偶者である 請求不可(自らの有責性が問われる)

慰謝料の相場

セックスレスを主因とする慰謝料の裁判例での認定額は、概ね50万円〜200万円程度とされています。ただし、セックスレスに加えてDV・モラルハラスメント・不貞行為が重なっている場合はより高額になることがあります。協議離婚の場合は当事者間の合意次第で金額が決まります。弁護士を通じて交渉することで、適切な水準の慰謝料を受け取れる可能性が高まります。

協議・調停・裁判の流れとポイント

ステップ1:協議離婚

まずは夫婦間での話し合いによる解決を試みます。離婚の意思・条件(親権・養育費・財産分与・慰謝料など)について合意できれば、離婚届を提出するだけで離婚が成立します。セックスレスの問題は感情的になりやすいため、冷静に書面(離婚協議書)で条件を整理することが重要です。合意内容は公正証書にしておくと後のトラブル防止に有効です。

ステップ2:離婚調停

協議で合意できない場合は、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚調停)」を申し立てます。調停は調停委員2名(男女各1名)が間に入り、双方の話を聞きながら合意形成を促す手続きです。

  • 申立先:相手方(配偶者)の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 費用:収入印紙1,200円+郵便切手代(数百円〜数千円)
  • 期間:平均6ヵ月〜1年程度(事案によって異なる)
  • セックスレスに関しては、証拠資料や日記などを調停委員に提示することで説得力が増します

ステップ3:離婚裁判(訴訟)

調停が不成立に終わった場合、離婚裁判を提起することができます。裁判では法定離婚事由(民法770条)の存在を立証する必要があり、セックスレスについては「婚姻を継続し難い重大な事由」(5号)として主張することになります。裁判は専門的知識が必要なため、弁護士への依頼を強くお勧めします。一審の審理期間は概ね6ヵ月〜2年程度です。

よくある質問

Q. 相手がセックスレスを認めず、離婚に応じない場合はどうすればよいですか?

A. 相手が離婚を拒否している場合、協議での解決は難しいため、離婚調停の申立てに進むことになります。調停でも不成立の場合は離婚裁判となります。裁判で勝訴するためには、セックスレスの継続期間・相手による一方的な拒絶・婚姻関係の実質的な破綻を示す証拠が重要です。日記やメッセージ履歴など、日頃から記録を残すことを意識してください。また、別居を開始することで「婚姻関係の破綻」の事実を積み重ねることができ、離婚認容の可能性を高める効果があります。弁護士に相談して戦略的に進めることをお勧めします。

Q. 未成年の子どもがいる場合、セックスレスを理由とした離婚交渉で注意すべき点はありますか?

A. 子どもがいる場合は、離婚の条件として親権・養育費・面会交流についても同時に取り決める必要があります。セックスレスや慰謝料交渉に集中するあまり、子どもの権利に関する取り決めが後回しになることがあるため注意が必要です。特に養育費については、公正証書または調停調書として書面に残しておかないと、後日不払いになったときに強制執行が難しくなります。また、調停・裁判において子どもの利益(子の福祉)が重視されるため、感情的な対立が子どもに悪影響を与えないよう、手続き中も子どもへの配慮を欠かさないことが大切です。

執筆

離婚ポータル事務局

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