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住宅ローン返済中の離婚で「家を残したい」場合の対処法

この記事は約 6 分で読めます
[掲載日]2026/05/31 1 -

住宅ローン返済中の離婚で「子どもの環境を変えたくない」「住み慣れた家を手放したくない」という理由から、売却せずに家を残す選択を検討する方が多くいらっしゃいます。しかし連帯債務やペアローン、連帯保証人という形で元配偶者との金融的な結びつきを残したまま離婚すると、数年後に大きなトラブルの原因となります。本記事では、家を残すための現実的な選択肢と、離婚時に必ず整理しておきたい金融手続きを解説します。

家を残す選択をする前に確認すべき4つの前提

家を残す判断は感情的になりがちですが、冷静に以下の4点を確認してから決断しましょう。

  1. 住宅ローン残債と不動産の市場価格:残債が評価額を上回る「オーバーローン」状態なら、売却も難しく残す選択のハードルも高い
  2. ローン名義と所有名義:夫単独ローン・妻単独ローン・ペアローン・連帯債務・連帯保証で手続きが大きく異なる
  3. 残留側の支払い能力:年収のおおむね5〜7倍が借入可能額の上限。残高より高い収入が必要
  4. 団体信用生命保険の継続条件:契約者変更時に団信の再加入が必要で、健康状態次第で引受不可もあり得る

特に③の支払い能力は重要で、離婚時に単独債務への借換えができない場合、結局は数年後に売却を余儀なくされるケースが少なくありません。

ケース別:家を残す具体的手続き

ケース1: 夫単独ローン・夫名義で夫が住み続ける

最もシンプルなケースです。ローン関係に妻が連帯保証人として入っていなければ、離婚後は何も変更する必要がありません。連帯保証人として入っている場合は、金融機関に連絡し代替保証人を立てるか保証料を追加することで外してもらう交渉が必要です。

ケース2: 夫単独ローン・夫名義で妻(+子)が住み続ける

実務上最もトラブルが多いケースです。夫がローンを払い続ける形で妻が居住することになりますが、将来的に夫がローンを滞納すると、競売で妻が住む家が失われるリスクがあります。対策としては以下を検討します。

  • 妻への名義変更と借換え(妻に十分な収入がある場合)
  • 夫の親族による資金援助でローン完済 → 妻名義に変更
  • 公正証書で「ローン完済まで妻に居住権がある」と明記し、夫の相続時の対応を記載
  • 住宅ローン控除の継続条件(居住者=契約者)に注意

ケース3: ペアローン(夫婦それぞれがローン契約)

ペアローンは離婚時に最も整理が難しい契約形態です。どちらか一方のローンを他方が引き受けるには金融機関の審査を通過する必要があり、単独での借入可能額が物件価格を上回らないと借換えができません。

ケース4: 連帯債務(夫婦が連帯してローン契約)

連帯債務は夫婦の双方が主債務者となっているため、離婚しても片方が勝手に抜けることはできません。金融機関との合意で債務者変更を行うか、一方の親族が代位弁済して完済する方法が現実的です。

単独債務への借換えで気をつけること

離婚を機に単独債務へ借換える場合、銀行・フラット35のどちらも改めて審査を受けることになります。一般的な審査基準は以下のとおりです。

審査項目 目安
年収倍率 年収の5〜7倍が借入上限
返済負担率 年収400万円未満で30%、400万円以上で35%
勤続年数 銀行系:2〜3年以上、フラット35:1年以上
信用情報 過去5年以内の延滞・債務整理がないこと
健康状態(団信) 持病がある場合はワイド団信で代替可

特に専業主婦・パート勤務の妻が単独借換えを希望する場合、離婚成立前に正社員転換や就労実績の積み上げをしておくのが現実的です。離婚前提で別居する段階から、3年以上の就労歴を作る計画を立てておきましょう。

連帯保証人から外れる具体的方法

連帯保証人として名を連ねている場合、離婚しただけでは保証人から外れません。金融機関との個別交渉で外してもらう必要があり、一般的には以下の3つの方法があります。

方法1: 代替保証人を立てる

親族や新しい連帯保証人を立てることで、既存の保証人から外してもらう方法です。金融機関の審査が必要で、代替保証人の年収・資産状況が元の保証人より劣らないことが求められます。

方法2: 保証会社の保証に切り替える

銀行系保証会社の保証を付ける代わりに人的保証を外してもらう方法です。保証料として借入額の2%前後が一括または金利上乗せで必要となります。

方法3: 借換えで別の金融機関のローンに変更

まったく別の金融機関で単独のローンを組み直し、既存のローンを一括返済する方法です。審査が最も厳しい一方、一度で金融的な結びつきをすべて断ち切れるため、最もクリーンな解決策です。

離婚協議書には「甲は離婚後○年以内に連帯保証を外すための借換えまたは代替保証人を立てる」などの条項を入れ、期限を区切るのがポイントです。期限を区切らないまま離婚すると、10年以上放置されるケースも珍しくありません。

家を残す場合の財産分与の考え方

家を残す場合の財産分与は、物件の評価額からローン残債を差し引いた正味評価額を基準に行います。計算例を示します。

項目 金額
不動産査定額 3,500万円
住宅ローン残債 2,800万円
正味評価額 700万円
配偶者の取り分(2分の1) 350万円

家を残す側は、この350万円を配偶者へ代償金として支払う必要があります。現金で一括払いが難しい場合は、以下の方法で調整します。

  • 他の預金・退職金・保険から相殺
  • 分割払い(期間3〜10年、公正証書で強制執行認諾文言を付ける)
  • 養育費と相殺する合意(ただし養育費減額と誤解されない条項作りが必要)

査定額は不動産会社3社以上から取得し、査定金額の中央値または平均値を採用するのが合理的です。家を残す側に有利な低めの査定、出ていく側に有利な高めの査定で対立するため、双方が合意する不動産鑑定士に正式評価を依頼するのも一手です。

家を残すべきでないケース

家を残したい気持ちはよく分かりますが、以下のいずれかに該当する場合は売却を選ぶ方が将来のトラブルを避けられます。

  • オーバーローンで、配偶者側の同意を得られない場合
  • 単独借換えの審査が通らず、元配偶者のローン継続に依存するしかない場合
  • 離婚後の収入でローン返済と生活費の両立が難しい場合
  • 元配偶者に浪費癖・ギャンブル癖があり、ローン滞納リスクが高い場合
  • 子どもが独立したら住み替えを検討したい場合

特にオーバーローン物件は、任意売却で金融機関と交渉し、残債を無理なく分割返済にしてもらうのが現実的な解決策です。自宅を手放す心理的負担はありますが、金融リスクを断ち切って離婚後の生活を仕切り直せるメリットは大きいと言えます。離婚専門の弁護士と不動産仲介業者の両方に相談し、最適解を検討してください。

任意売却を選ぶ際の具体的な流れ

任意売却は通常の売却と異なり、残債が売却価格を上回る物件を金融機関の同意を得て売却する仕組みです。一般的な進め方は次のとおりです。

  1. 複数の不動産業者に査定依頼し、相場価格を把握する
  2. 金融機関に任意売却を申し出て、価格交渉を始める
  3. 売却完了後も残る残債の返済計画を金融機関と合意する
  4. 離婚協議書に残債分担の取り決めを記載する

任意売却は競売と違って相場に近い価格で売れるメリットがあり、残債圧縮効果が大きいのが特徴です。離婚成立前に進めるのが原則で、離婚後に一方が勝手に売却しようとすると共有名義の同意問題が発生します。任意売却の専門業者と早めに相談し、離婚協議と並行して計画を立てるのが賢明です。

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執筆

離婚ポータル事務局

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